2017年5月13日 (土)

三浦九段えん罪事件に思うこと(その3)

 三浦九段の名誉回復とは何だろう。

 佐藤康光会長は、平成29年2月6日臨時総会後の会長就任あいさつで、
「今後三浦九段の名誉回復、並びに将棋界の信頼回復に努めてまいります」と述べた。

 
一方、2月27日、旧理事5人に対する解任動議を目的とする臨時総会において、青野照市専務理事、中川大輔常務理事、片上大輔常務理事の3人が解任された。解任動議可決は、90年以上の歴史を有する日本将棋連盟で初めての出来事である。 東和男常任理事、佐藤秀司常任理事は否決(残留)されたが、結局4月27日の次期理事予備選挙には立候補せず、えん罪事件当時の常勤の棋士理事7名は、事実上、全員が「引責辞任」「更迭」となった。

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 次期理事は、正式には5月29日の総会で承認されることになるが、総入れ替えになった理由は、「えん罪事件の総括」と「三浦九段の名誉回復」に他ならない。
 一度「インチキ」「カンニング」というレッテルを貼られると、記録や記憶を取り消すのは不可能だが、それでも将棋連盟をあげて、名誉回復に努めるのは当然であろう。この先、何をもって「三浦九段の名誉回復」と言えるのだろうか。以下、私見ながら。

①処分について
 日本将棋連盟は、
「挑戦権剥奪、出場停止処分は将棋連盟・執行部の落ち度、重大な間違いであり、処分を取り消します」と宣言する必要がある。謝罪したとかしないとかではなく、ともかく「前科」にあたる処分を公式に取り消すこと。

②補償について
 最低でも竜王戦、A級順位戦等の対局料・賞金は補償する必要がある。慰謝料に相当するものも上乗せして。(これは、三浦九段側の弁護士と話し合っているものと思われる)

③竜王戦について
 今期、竜王戦1組の三浦vs羽生戦がすでに終わっている。始まる前は、三浦九段を挑戦者又は最低でも挑戦者決定戦にというファンの声もあったが、1回戦を戦ったということは三浦九段は前期の蒸し返しはせず、今期の対局を受け入れたということだろう。(補償は別問題)

④告発棋士の処分について
 事の発端である渡辺永世竜王に何のお咎めもないのは不思議だ。棋界の至宝である前会長・十七世名人をはじめ理事全員が引責・更迭となった連盟有史以来の異常事態を真摯に受け止め、まずは、自らタイトル返上や賞金返上を申し出てはどうか。総会や理事会で決まれば処分は受けるかのような他人任せの態度は無責任に感じる。(久保九段、千田六段は、竜王の告発がなければヤリ玉には上がらなかったわけだから、処分対象とまでは思わない)

⑤異分子について
 将棋連盟は、第三者調査委員会の報告を受け入れ、組織をあげて三浦九段の名誉回復と運営の正常化を図ろうとしているのに、いまだに「報告書は関係ない」「三浦はクロ」という認識の棋士や記者がいることは大問題だと思う。こういう輩こそ、処分の対象にすべきである。

 三浦九段の一日も早い名誉回復を望む棋士が大勢と信じるが、異分子ほどではなくとも竜王を擁護したい人もいるだろう。議論や処分の前提は、「事実関係の明確化」と「第三者調査委員会報告書の統一解釈」にある。ここがぶれていては、いつまでたっても噛み合わない。

 新理事会の一挙手一投足に、最後の注目をしている。

2017年2月13日 (月)

三浦九段えん罪事件に思うこと(その2)

 第三者委員会はなぜ「提言」をしたのか。

 第三者調査委員会報告書
https://www.shogi.or.jp/news/investigative_report_1.pdf

【1】委嘱事項は2つではなく3つ
 最初、委員会への委嘱事項は「不正の有無」「処分の妥当性」の2つと思っていたが、報告書概要を読むと3つ目(条件付きで「原因究明及び再発防止策の提言」)があった。
 そして、この3つ目の根拠が気になって仕方がない。

【2】当委員会への委嘱事項(報告概要p.1~p.2)
 当委員会は、連盟から、以下の①及び②の事項の調査とともに、①の全部又は一部の事実が認められた場合又は
②について妥当性を欠くことが認められた場合には、原因究明及び再発防止策の提言を行うよう委嘱を受けた。
① 三浦棋士が、公式戦の対局中に、スマートフォン等の電子機器を通じてアプリケーションソフトウェア等を使用し情報を得て、それを自らの対局に用いた事実の有無(以下「本件調査事項①」という。)
② 連盟の三浦棋士に対する本件処分の妥当性(以下「本件調査事項②」といい、本件調査事項①と本件調査事項②を総称し「本件調査事項」という。)

 ざっくり言うと、調査委員会は
・①三浦九段の不正の事実の有無を調査する
・②連盟が下した処分の妥当性について調査する
・調査の結果、①の不正の事実が少しでもあるか、②の処分が妥当性を欠く場合、「原因究明及び再発防止策の提言」を行う
となっている。不正の事実がなく、連盟の処分も妥当であれば、提言は必要ない。

【3】委員会が提言を行った根拠は何か
 委員会は、報告書概要p.38~p.39で「第7 本調査を踏まえた当委員会の提言」を行っている。
 ①の不正事実は委員会自身が証拠なしとすべて否定したのだから、提言を行った根拠は、②の「妥当性を欠くことが認められた」からしか残っていない。要らぬおせっかいで提言する必要はないのだから。

 実際に、委員会は「必要性・緊急性」「相当性」「その他の事情」等をもとに「(処分は)やむを得ない」旨を2ヶ所(報告書概要p.38)で述べているが、「処分が妥当である」という文言や趣旨はどこを見ても見当たらない。
 普通に読めば、 「当時の状況では、処分はやむを得なかったが、妥当性には欠ける」と判断したからこそ、原因究明及び再発防止策の提言を付け加えて報告書を提出したということである。受け取った連盟側が「故意」か「能力不足」により「妥当という判断をいただいた」と勝手に解釈したのではないか。

 故意なら悪質だが、読解力不足ならなおのこと情けない。報道も、連盟よりの「妥当派」と中立的な「やむを得なかった派」に分かれているようだ。

2017年2月 9日 (木)

三浦九段えん罪事件に思うこと(その1)

 公益社団法人日本将棋連盟のゴタゴタに、将棋ファンは元より、一般の人まで呆れかえっている。(私の周りでは)

(参考)
三浦弘行九段の件の時系列まとめ記事(その4) (将棋ワンストップ・ニュース)
佐藤康光九段が将棋連盟の会長に就任した2月6日の臨時総会の模様 (田丸昇九段「と金横歩き」)

 

 何でこんなことになったのか、会長はじめ執行部の理事を少なからず知っている身として残念で仕方ない。備忘録代わりに、これから記者会見があって、フリーランスとして出席できるなら、こんなことを聞きいてみたい。(渡辺明永世竜王の処分については、聞いても無駄なので省略)

 

1.連盟執行部に:「常務会とは何か」
①島九段の自宅で行われた会合で、誰が何を言ったかの記録はとってあるのか。
②三浦九段の弁護士が「休場届けは出さない」と連絡したとのことだが、それは事実か。
③連盟は、第三者調査委員会から、いつどのような形式(デジタルデータ、紙&部数)で調査報告書を受け取ったのか。
④公益社団法人として、常務会の位置づけと権限、その根拠を説明してほしい。
常務会は、当時または今後も「挑戦権剥奪」「出場停止」という処分を下す権限を持つのか。そうだとしたら、その根拠は何か。

 

2.第三者調査委員会の委員長に:「やむを得なかった」のか「妥当だった」のか
①委員会は、草案である「ドラフト版」を、事前に連盟に提出したのか。
②「ドラフト版」から「公開版」(通称)への変更は、委員会が独自に行ったのか。(連盟は一切関知していないと棋士に説明している)
報告書(概要、約40頁)には、常務会の下した処分について「やむを得なかった」旨の記述はあるが、連盟の主張する「妥当である」という文言は一切見当たらない。委員長も記者会見で「妥当である」とは言ってない。委員会は連盟に「妥当である」と報告したのか、それとも連盟が故意か読解力不足により勝手に解釈しているのか。

 

3.監事に:「理事、理事会に対する監督責任は?」
①理事に、日本将棋連盟の定款を読ませ、理解させているのか。彼らは、定款や規則について、疑問点はないのか。
理事会の一部で構成される常務会が、「挑戦権剥奪」「出場停止」という処分を下したことは、組織のルール及び公益法人法上、問題はないのか
③故意にせよ重過失にせよ、常務会の処分により、三浦九段は「重大な名誉棄損」「少なくとも一千万円単位での経済的損失」を被ったことは明白である。常務会に対する自分たちの監督責任をどう思うか。

 突っ込むポイントが多すぎて、絞り込むのに難儀する。まずはこんなところ。